「怪盗Xからの挑戦状」を推理する

NHK総合テレビで放送中の「探偵Xからの挑戦状!(シーズン3)」。
今週は米澤穂信さんの「怪盗Xからの挑戦状」。
犯人を推理してみよう。

第六章の問題編の最後で、助手と怪盗Xは犯人が誰か分かって、探偵Xだけが分からないという展開になっている。探偵Xの推理で、犯人は眼鏡が必要な人物とし、目が悪くない者、犯行時にアリバイが成立するものをの除いていった。残った者が犯人である。ということで、犯人は宿泊客のひとり、外山映彦。6ページの登場人物一覧に名前があり、唯一、小説の本文に名前の記述がなかった人物である。

怪盗Xが開発したスーパーミニデジタルハイビジョンキャメラは、ハイビジョン規格に対応した映像を撮影できる。ハイビジョン規格であるならば、普通は16対9の画面である。ところが、探偵Xが見たのはブラウン管テレビ。画面は4対3である。16対9の画面を見るには、上と下に黒い帯が現れるはずだが、ケータイサイトに掲載されている画像をみると、画面いっぱいに表示されている。また、小説の本文から読み解くと、冒頭シーンで古い映画のDVDを画面いっぱいに映しているという描写もある。つまり、画面の左右が欠けているのを探偵Xが気付いていないということだ。怪盗Xが編集したブルーレイはハイビジョン画質であるだろうから、助手は16対9で見ているはずである。もうひとつ、怪盗Xがテロップを縦書きにしてしまったことも両端が見えていないことに気付かない要因となってしまった。横書きだったら、名前の一部分くらい見えたかもしれない。
ここで、食堂のシーンを振り返ってみる。右から左へ視線は流れ、三人の男性が映ったところで静止する。しかし、本当はここで怪盗Xは四人映していたのだ。画面の左端にもうひとりいたのだ。探偵Xが椎平を観察している間にも、縦書きで「外山映彦」とテロップが現れ、次に「椎平実」と表示されたのだ。視線はこのあと左に寄らず右に行き、その後も外山は会話に加わらず、そのうちにバッテリーが切れてしまい、探偵Xは全く気付かない。怪盗Xが座った席は椎平の向かい。実はそこは最も上座ではなかった。外山が上座にいたので、怪盗Xは何のためらいもなく席に着いたのであろう。支配人は当然、下座側に立つであろうから、怪盗Xが外山の方を向くことはなかった。なかったというより、会話はしたかもしれないが、バッテリー切れで記録できなかったというのが正しいだろう。

以上、犯人は外山映彦で、探偵Xが認識できなかった理由である。この「外山映彦」という名前がヒントでもある。「外」に「映」である。

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